8月9日、伊万里で……
毎年8月9日、長崎原爆の日に取り組んでいる「平和の日ラジオ」。
今年は佐賀県伊万里市の伊万里実業高校、商業キャンパスにお邪魔しました。
(※2年前に伊万里商業と伊万里農林が合併して、伊万里実業高校が生まれました)
左側の白い建物が伊万里実業の校舎。そして右側、敷地内の小高い丘に長崎原爆の慰霊碑があります。
76年前、当時の伊万里商業学校からは77人の生徒が長崎の兵器工場に学徒動員され、被爆。13人が亡くなりました。
その犠牲者を追悼するため、同窓生の皆さんが慰霊碑を建立し、平成6年(1994年)から慰霊祭を執り行っていたのでした。
そして、その慰霊祭が、NBCラジオの「平和祈念式典中継」を聴きながら行われていると知り、今年初めてお邪魔したのでした。
同窓生の高齢化に伴い、おととしからは伊万里実業高校の学校行事として行われています。
今年は遺族、同窓生、現役の高校生ら26人が参加しました。
一番後ろから拝見していますと……参列者の皆さんは、ラジオから流れてくる平和祈念式典の「献水」や「黙とう」といった司会進行の言葉に合わせて、慰霊祭を粛々と執り行っていました。
その様子に、私は涙が止まらなくなってしまいました。
長崎から遠く離れていても、同じことをしている人々が、伊万里に存在しました。
ラジオの音声を頼りに、長崎市の平和祈念式典と同じことをしている人々が、伊万里にいたのです。
その光景に私は……伊万里から遠く離れた長崎で亡くなった家族(友人たち)との距離、あるいは地上と天国の距離のようなものを感じて、打ちのめされてしまったのでした。
オンエア中に言葉が詰まるほど泣いてしまったのは、これが初めてです。
お聞き苦しかったと思います。聴いていた方、申し訳ございません。
しかし今日は、伊万里にお邪魔して本当に良かったと思っています。
理屈やパワーゲームでは、戦争を無くすことは不可能です。
どんなにもっともらしいことを語っても、その根っこに「大切な人を失った悲しみ」が無ければ、説得力はありませんから。
ひとりひとりの切ないほどの想いが周囲の人々を動かし、やがて大きなムーヴメントに育っていくのだと。そうでなければ、戦争は無くならないと思います。
伊万里の皆さんの想いに応えるために、自分に何が出来るのか。スタッフやリスナーの皆さんと一緒に考えていきたいと思います。