在りし日の軍艦島に、想いを馳せて
私事ですが、11/15発売の「月刊ジェイ・ノベル12月号」(実業之日本社)に、
私の短編小説「軍艦島1973―僕たちのあの島へ―」が掲載されました。
これは昨秋、出版社からの依頼により、端島(軍艦島)をモチーフとした小説を
書いたもので、執筆自体は1年前に終了していたものです。
軍艦島にまつわるストーリーはすでに数あれど、多くが殺人事件の舞台だったり、
炭鉱マンの悲哀を描いたもののように思えましたので、私は「賑やかな雰囲気」の軍艦島を
描きたいと考えました。
これまでお会いした元島民や研究者の皆さんが口を揃えて仰る、「とても豊かで、
暮らしやすく、全員が家族のような島だった」という雰囲気を、著したいと思ったのです。
タイトルの「1973」には、軍艦島が1974年に閉山する前のストーリー、という意味が
込められています。
さて、端島には以前観光船で渡ったことはありましたが、「より近くで見たい」と考え、
漁船をチャーターし(漁船をチャーターするという行為にドキドキしました・・・)、
長崎市の特別な許可を得て、観光コース以外の部分を見学させてもらいました。
・・・とは言っても、世界遺産登録直後ということもあり、環境や構造物保護の観点から、
そうそう自由に見て回る、というわけにはいきません。
取材には市の担当者が立会い、特に建物群は崩壊がかなり進んでいて危険な為、
中に入ることや、近づくことも禁じられました。
それでも、やはり現地を訪れることでしか味わえない空気感や、歩くことでしか分からない
距離感などはあります。様々なインスピレーションも感じる、貴重な経験となりました。
やはり、行ってよかったです。
閉山前、全国で唯一の鉄筋コンクリート7階建て校舎だった端島小中学校をバックに、
記念撮影。
この校舎が、物語の舞台となりました。
内容は、中学生男女の淡い恋と冒険の物語・・・。挿画は、浦上和久さんです。
雑誌掲載にあたっては、元島民や関係者の皆様に前もって読んで頂きましたが、
おかげさまでご好評頂き、ほっとしました。(泣いてくださった方も!)
長崎在住の作家が端島を題材に小説を書く、情報を発信するということには
それなりの意味があるのかもしれない、と思ったりしています(手前味噌ですが・・・汗)。
また、取材の過程で、様々な興味深いエピソード(例えば、NBCラジオの公開放送が
端島では度々行われ、非常に盛り上がったことなど)を聞きました。
今後番組で、お話ししていこうと思います。お楽しみに♪
ちなみに・・・
小説家デビュー8年目で本も5冊出していますが、文学界ではまだ「新鋭」です。
でも、なんとも嬉しかったり・・・
まだまだ頑張るぞ~(^^)!
<12/14追記>
下記サイトから、全文を読むことが出来るようになりました。よろしければ!(画像をクリック)